東北エンジニアリング株式会社

📐 測量業務AI活用の核心:マスターデータで定型文書を自動化

受注時に業務情報をマスターデータ化すれば、 報告書・作業日報・写真帳・KY活動記録など全ての定型文書をAIが自動生成できる。

📋
マスターデータ作成
受注時に一括登録
📷
現場データ収集
スマホ→クラウド
🤖
AI自動整形
所定フォーマット出力
人間確認・提出
技術的妥当性を確認

⚠️ 測量業務の鉄則: AIは「文書作成補助ツール」である。座標値・精度・面積の最終確定はAI非依存。 成果品の品質保証は測量士・測量士補の責任であり、AIはあくまで補助である。

1. マスターデータ管理で全ての定型文書を自動化

🎯 マスターデータとは何か

受注・契約時に確定する業務情報を一元管理するデータベース。 これを整備することで、報告書・計画書・日報など全ての定型文書が自動生成可能になる。

💡 マスターデータに含める情報
【基本情報】
  • 業務名(正式名称)
  • 発注者名・担当者名
  • 業務場所(住所)
  • 業務工期(開始〜終了)
  • 契約金額
【技術情報】
  • 測量種別(3級基準点測量等)
  • 座標系(平面直角座標系 第○系)
  • 測地成果(JGD2011等)
  • 使用機器(TS型番、GNSS型番)
  • 担当技術者名
✓ 効果: マスターデータを整備すれば、報告書作成時間を70%削減できる(※効果目安・実績値は業務により異なる)。 業務名・発注者・工期などを毎回手入力する手間が不要になり、転記ミスも防止できる。
📋 マスターデータ自動整形プロンプト(JSON形式)
あなたは測量業務のマスターデータ管理担当者である。 【依頼】 以下の契約情報から、業務マスターデータを構造化して整理すること。 【契約情報】 [ここに契約書の内容を貼り付け、または以下の形式で入力] 業務名:令和○年度 ○○地区 3級基準点測量業務 発注者:○○県 ○○土木事務所 担当者:○○課 ○○様 業務場所:○○県○○市○○町地内 工期:令和○年○月○日 〜 令和○年○月○日 契約金額:○○○万円 測量種別:3級基準点測量 座標系:平面直角座標系 第○系(JGD2011) 使用機器:TS(○○製 型番○○)、GNSS(○○製 型番○○) 主任技術者:測量士 ○○○○ 担当技術者:測量士補 △△△△ 【出力形式】 以下のJSON形式で出力すること。 ```json { "業務ID": "R06-○○-001", "業務名": "令和○年度 ○○地区 3級基準点測量業務", "発注者": { "組織名": "○○県 ○○土木事務所", "担当課": "○○課", "担当者": "○○様" }, "業務場所": "○○県○○市○○町地内", "工期": { "開始": "令和○年○月○日", "終了": "令和○年○月○日" }, "契約金額": "○○○万円", "技術情報": { "測量種別": "3級基準点測量", "座標系": "平面直角座標系 第○系", "測地成果": "JGD2011", "使用機器": { "TS": "○○製 型番○○", "GNSS": "○○製 型番○○" } }, "担当者": { "主任技術者": "測量士 ○○○○", "担当技術者": "測量士補 △△△△" } } ``` このデータを全ての報告書・日報作成で活用する。

2. 現場写真のクラウド連携ワークフロー

🎯 スマホ→クラウド→AI整形の自動化

現場でスマホ撮影した写真をクラウドに即アップロードし、 音声入力でコメントを追加。会社に戻ったらClaudeのプロジェクト機能で所定フォーマットに自動出力する。

STEP 1: 現場でスマホ撮影→クラウドアップロード

→ 撮影と同時にGoogle Drive / OneDrive / Dropbox等に自動アップロード
→ 音声入力で「測点No.15付近、TS観測状況、晴れ」などコメントをテキスト化
→ 撮影日時・位置情報も自動記録

📱 クラウド自動アップロード設定方法:
■ Google Drive(Android / iPhone):
1. Google Driveアプリを開く → 設定 → 「バックアップ」
2. 「写真と動画のバックアップ」をON
3. アップロード先フォルダを「測量現場写真」に指定

■ OneDrive(iPhone推奨):
1. OneDriveアプリ → 設定 → 「カメラアップロード」
2. 「カメラアップロード」をON
3. 「フォルダ」を「測量業務」に設定

■ Dropbox:
1. Dropboxアプリ → 設定 → 「カメラアップロード」
2. 有効化し、「モバイルデータを使用」もONに(現場でWi-Fiがない場合)
🎤 音声入力の具体的方法

現場で写真を撮影したら、その場で音声メモアプリまたはメモアプリの音声入力機能を使ってコメントを記録する。

推奨アプリと使い方:
■ iPhone: 音声メモアプリ(標準)
1. 写真撮影後、音声メモアプリを開く
2. 録音ボタンを押して「測点No.15付近、TS観測状況、晴れ」などを話す
3. 停止 → 「文字起こし」タップで自動テキスト化
4. テキストをコピーしてメモアプリ(またはGoogle Keep)に貼り付け

■ Android: Google Keep(推奨)
1. Google Keepアプリを開く
2. 「+」ボタン → マイクアイコンをタップ
3. 「測点No.15付近、TS観測状況、晴れ」などを話す
4. 自動的にテキスト化され、Googleドライブに同期保存

■ 共通: スマホキーボードの音声入力
1. メモアプリ(標準メモ / Google Keep等)を開く
2. キーボードのマイクアイコンをタップ(Gboard / iOS標準キーボード)
3. 音声でコメントを入力
4. 自動的にテキスト化されてメモに記録
STEP 2: 会社でClaudeプロジェクトに画像とコメントを入力

→ Claudeプロジェクトにマスターデータ+写真+音声コメントを入力
→ プロジェクト内に「写真帳フォーマット」を設定済み
→ 自動的に所定形式で写真帳を生成

💡 Claudeプロジェクト機能の設定方法:
■ プロジェクト作成:
1. Claude.ai にアクセス → 左サイドバー「Projects」をクリック
2. 「Create Project」→ プロジェクト名「測量業務_○○地区」を入力
3. 「カスタム指示」にマスターデータJSON(または業務情報)を貼り付け
4. 「Set custom instructions」で保存

■ プロジェクト内での使い方:
1. 作成したプロジェクトを選択
2. チャット画面でクリップアイコンから写真をアップロード
3. 音声メモから起こしたテキストを貼り付け
4. 「写真帳フォーマットで出力して」と指示
5. AIが自動的にマスターデータを使って所定形式で生成

✓ メリット:
毎回マスターデータを入力する必要がなく、プロジェクト内では業務情報が自動的に反映される。
STEP 3: 人間確認・微調整

→ AIが生成した写真帳を技術者が確認
→ 技術的妥当性・表現の正確性をチェック
→ 必要に応じて修正し、成果品として提出

✓ 効果: 写真帳作成時間を80%削減(※効果目安・実績値は業務により異なる)。 現場で撮影→即アップロードにより、写真の紛失・撮り忘れが激減。 音声入力でコメント追加できるため、現場での手入力が不要
📷 写真帳自動生成プロンプト(Claudeプロジェクト用)
あなたは測量業務の写真帳作成担当者である。 【マスターデータ】 [プロジェクト設定でマスターデータを事前登録済み] 業務名:令和○年度 ○○地区 3級基準点測量業務 業務場所:○○県○○市○○町地内 発注者:○○県 ○○土木事務所 【写真情報】 写真1:[画像添付] 撮影日:令和○年○月○日 音声コメント:「測点No.15付近、TS観測状況、晴れ、観測者1名・ミラーマン1名」 写真2:[画像添付] 撮影日:令和○年○月○日 音声コメント:「基準点No.3、標識設置完了、金属標埋設、晴れ」 【依頼】 上記の写真とコメントから、以下の形式で写真帳を作成すること。 【出力形式】 ``` ■ 写真帳 業務名:令和○年度 ○○地区 3級基準点測量業務 撮影場所:○○県○○市○○町地内 --- 【写真番号:1】 撮影日:令和○年○月○日 撮影場所:測点No.15付近 天候:晴れ 撮影内容:3級基準点測量 観測状況 説明:TS(トータルステーション)を使用した観測作業の状況。観測者1名、ミラーマン1名で作業を実施。 【写真番号:2】 撮影日:令和○年○月○日 撮影場所:基準点No.3 天候:晴れ 撮影内容:標識設置完了状況 説明:金属標の埋設が完了した状態。規定の深さに埋設し、コンクリートで固定済み。 --- 作成日:令和○年○月○日 作成者:測量士 ○○○○ ```

3. 定型文書の自動生成(作業日報・KY活動記録)

🎯 フォーマットが決まっている文書はすべてAI化

作業日報・KY活動記録・業務計画書など、フォーマットが固定されている文書は、 マスターデータ+現場情報を入力すればAIが所定フォーマットで自動生成できる。

✅ AI自動生成に最適な文書
  • 作業日報(日々の作業内容記録)
  • KY活動記録(危険予知活動)
  • 業務計画書(工程表・体制図)
  • 打合せ議事録(定型フォーマット)
  • 作業報告書(週報・月報)
  • 点の記(測量標の所在地記録)
🔧 効率化のポイント
  • マスターデータから業務名・工期等を自動挿入
  • 音声入力で現場情報を記録
  • Claudeプロジェクトでフォーマット設定
  • 過去の類似文書をナレッジとして学習
  • 最終的に人間が技術的妥当性を確認
📝 作業日報自動生成プロンプト
あなたは測量業務の作業日報作成担当者である。 【マスターデータ】 業務名:令和○年度 ○○地区 3級基準点測量業務 業務場所:○○県○○市○○町地内 発注者:○○県 ○○土木事務所 主任技術者:測量士 ○○○○ 【本日の作業情報】 作業日:令和○年○月○日(○曜日) 天候:晴れ 作業場所:測点No.10〜No.15 作業内容:[音声入力] 「3級基準点の観測作業。TS使用。観測者2名、ミラーマン1名。測点No.10からNo.15まで6点の観測を完了。特に問題なし。」 作業時間:9:00〜17:00(休憩1時間) 作業人数:3名 【依頼】 上記情報から、以下の形式で作業日報を作成すること。 【出力形式】 ``` ■ 作業日報 業務名:令和○年度 ○○地区 3級基準点測量業務 報告日:令和○年○月○日 作業場所:○○県○○市○○町地内 測点No.10〜No.15 【作業内容】 ・3級基準点測量の観測作業を実施 ・TS(トータルステーション)を使用し、測点No.10からNo.15まで計6点の観測を完了 ・観測者2名、ミラーマン1名の体制で作業を実施 ・天候は晴れ、観測条件良好 【作業時間】 9:00〜17:00(休憩1時間含む) 実働:7時間 【作業人数】 計3名 【特記事項】 特に問題なく、予定通り作業完了。 報告者:測量士 ○○○○ ```

4. 点群処理・3次元測量(今後対応)

🔧 既存ソフトウェアの活用を推奨

点群データのAI自動分類、ノイズ除去、特徴抽出などは、既存の専用ソフトウェアを活用することを推奨する。 自社でPython等によるプログラミング開発を行うことは、コスト・技術難易度の観点から現実的ではない。

✓ 推奨アプローチ: APEX社の「Simple-Point」など、AI点群解析プラットフォームの導入を検討。 自動分類・ノイズ除去は専用ソフトに委ね、当社は生成AIによる報告書・文書作成に注力する。

5. 測量業務でのAI利用ルール

⚠️ 絶対に守るべきルール
  • 座標値・標高・面積:必ず検算。AIの計算結果をそのまま使わない
  • 精度判定:測量士・測量士補が実施。AI判定を鵜呑みにしない
  • 成果品の最終確認:人間が実施。AIはあくまで下書き作成ツール
  • 機密情報の取扱い:地権者情報・境界協定はAIに入力しない
  • 測量法令遵守:作業規程・測量法の適合性判断は人間が行う
✅ 推奨される使い方
  • マスターデータ整備→ 全ての定型文書作成が自動化
  • 現場写真をスマホ→クラウド→AI整形で写真帳作成
  • 作業日報・KY記録を音声入力→AI整形で効率化
  • 報告書・点の記の下書き作成→ 人間が技術的正確性を確認
次に何をする?(おすすめ)
次へ:業務デジタルツイン(プロジェクト専用AIの考え方) 重要:多段階AI照査(数量計算の精度を上げる) 不安がある場合:セキュリティ対策(入力OK/NG)を再確認